ウォーダディーたちが所属する第2機甲師団は当時実在した部隊で、1942年11月に連合軍の北アフリカ上陸作戦に際し、予備部隊としてモロッコに上陸。米軍陸軍兵として最初にドイツ軍と相対したと言われており、車体に「FURY」とペイントされた戦車の記録写真も実際に残っている。
戦車“フューリー”の撮影には3輌の戦車が使われた。1輌目は英ボービントン戦車博物館より提供された、76mm砲を搭載した戦争後期のM4中戦車シャーマンで、2輌目は特殊なシーンを撮影する時に使う改造車だった。戦車の車台に足場を備え付け、カメラやスタッフを乗せて車上で撮影できるようにした。3輌目はフューリーの内部を撮影する時に用いたもので、プロダクション・デザイナーのアンドリュー・メンジースが屋内セットを手掛けた。「技術的に一番難しかったのがこのセットだった」とメンジースは言う。「手狭なセットなので、デヴィッドがどんな角度からでも撮影できるよう、壁面は全て着脱できるようにしなければならなかった。また戦車が動いているように見せかけるべく下にジンバルを設け、車体をぐらつかせなければならなかった。」また砲弾の装填、発射、排莢の一連の動作を見せるのにもかなりの工夫を要した。「特殊効果チームは本物の戦車砲に見えるように、砲尾のブロックが素早く往復するシステムを作った。ラマー(ram)で砲弾の頭部を押し、ブロックをスライドさせ、即座に引っ込ませる。引っ込ませた瞬間に煙を放つようにすると砲弾が発射され、空薬莢が排出されているように見えるんだ。」
本作が描くのは米軍機甲師団最大の強敵、ドイツのティーガー戦車との対決である。「あれは最強の戦車なんだ」とメンジースは説明する。現存するティーガー戦車はわずか6輌。ボービントン戦車博物館にあった、世界で唯一走行可能なティーガー戦車を今回撮影に使用している。「ティーガー131号車は歴史的にも重要な戦車」と博物館の館長であるデヴィッド・ワイリーは説明する。「131号車は英国軍の第48王立戦車連隊と戦った戦車でチュニジアにあったものだ。チャーチル歩兵戦車を2輌ほど撃破したが、他の戦車に攻撃されて損傷を被ったので乗員は戦車を遺棄にした。傷もちゃんと残っている。戦車は終戦後に戦車博物館に寄贈された。」